院内での暴言・暴力・迷惑行為への当院の対応方針
当院は、「誠実な診療を通じて、地域の皆さまの健やかな暮らしを支える」ことを理念としています。
この言葉には、ただ「技術的に優れた医療を提供する」ことだけではなく、大切な想いを込めています。
それは、「誠実に、患者さん一人ひとりと向き合い、話を聴き、共に考える」という私たちの姿勢です。
治療の選択肢や方針については、できる限りわかりやすくご説明します。
そして、患者さんにご理解・ご納得いただいた上で、治療の判断を進めていくことを大切にしています。
この「誠実な医療」を、すべての患者さんへ等しく提供したい。
そのためには、誰もが安心して過ごせる安全な環境が不可欠です。
しかし残念ながら、一部の方による心ない言動が、他の患者さんやスタッフを危険に晒すことがあります。
その結果、診療に支障が出てしまうケースも稀にございます。
そこで、すべての患者さんが安心して医療を受けられる環境を維持するため、院内での迷惑行為に対する当院の方針と対応をご説明します。
1. 対象となる許されない行為について
他の患者さんやスタッフの安全を脅かし、診療を妨げる行為は、いかなる理由があっても許されません。
具体的には、以下のような行為が該当します。
暴言、恫喝、威嚇、強要
暴力行為
セクシャルハラスメント、ストーカー行為
業務妨害
院内規則の無視や他の患者さんへの迷惑行為
SNS等での誹謗中傷
2. 問題行為が発生した場合の対応
院内で上記のような問題行為が起きた場合、まず冷静にお話をお伺いします。
その上で、行為を中止するよう求めます。
それでも行為が続く場合は、他の患者さんやスタッフの安全確保が必要と判断します。
その際には、状況に応じて以下の対応を速やかに実行します。
状況を正確に記録するため、会話や映像を記録する場合があります。
暴力行為や脅迫など、緊急性が高く悪質と判断した場合は、直ちに警察に通報します。
当院の指示に従っていただけない場合、診療の継続は困難です。
その時点をもって診療を中止し、院内から退去していただきます。
他の患者さんやスタッフの安全が確保できない場合や、信頼関係の構築が著しく困難であると判断した場合。
この場合は、後述する医師法の「正当な事由」に基づき、今後の診療を一切お断りすることがあります。
威力業務妨害罪や脅迫罪、傷害罪など、刑事事件として対応します。
あわせて、損害賠償を求める民事訴訟を提起することもあります。
3. 医師の「応召義務」と「診療拒否の正当な事由」について
医師には、法律によって、原則として診療の求めに応じる「応召義務」が定められています。
しかし、この義務は無限ではありません。
厚生労働省の通達では、「患者の迷惑行為(いわゆるモンスターペイシェント)で信頼関係が構築できない場合」は、診療を拒否できる「正当な事由」にあたるとされています[1]。
当院の対応は、この国のルールに基づいています。
そして、他のすべての患者さんとスタッフの安全と権利を守るためのものです。
ご理解いただけますよう、お願いいたします。
4. 皆様と共に、安全で質の高い医療を守るために
この記事は、一部の方には厳しい内容に感じられるかもしれません。
しかし、大多数の良識ある患者さんには無縁のものです。
クリニックは、空間も時間も限られています。
その中で一人でも多くの患者さんに最善の医療を提供するには、皆様のご理解とご協力が不可欠です。
お互いを尊重し、信頼できる関係を築きたい。
その上で、より良い医療を皆様と共に創り上げていくことを切に願っています。
参考文献